Britain Prime Minister Theresa May Puts Fashion High on the Agenda
 しばらく前のことになるが、今年の7月にイギリスで女性が首相になったとき、マスコミの多くは、政治的な実績や手腕とともに、そのファッションについて詳しく報道した。男性が首相になっても、よほどのことがないかぎり身につけているものがマスメディアの話題になることはないが、女性の政治家の場合、ファッションが話題になることが少なくない。これは、日本に限ったことではなく、イギリス本国やアメリカでも、ファッションへの言及は少なくなかったように思う。

 女性の政治家が登場すると決まってファッションが話題になることについて、性差別主義的であり好ましくないと考える人は少なくないようであるが、私は、必ずしもこれには同意しない。報道機関自身がどのくらい自覚しているかはよくわからないが、女性の政治家のファッションを伝えることには、やはり、それなりの意義があるからである。

 性別に関係なく、政治家としての能力とファッションのセンスのあいだには、何らかの相関関係が認められる。もちろん、ファッションのセンスがすぐれていても、政治家としては無能という可能性がないわけではないが、少なくとも、身なりに気を遣わない政治家、服装に無頓着な政治家にロクな人物がいないことは間違いないように思われる。

 さらに、男性の場合、スーツを身につけているかぎり、あまりひどいことにはならないのが普通であるのに対し、女性については、ファッションセンスのよしあしは、ほぼ一目でわかる。女性の政治家のファッションが繰り返し話題になるのは、ファッションセンスが政治的能力を反映することを誰もが何となく知っているからであろう。

 ファッションのセンスが平均以下の女性の政治家は、有権者によい印象を与えないことが少なくない。この印象がセンスの悪さや服装への無頓着によるものであるのかどうかはわからないが、有権者がこれを政治的無能のサインとして不知不識に受け止めているというのは、十分にありうることである。

 たとえば、民主党政権時代に最後の文部科学大臣となったあの人物の場合、少なくとも政治家としての能力に深刻な問題があった。これは、周知の事実である。また、彼女がファッションに関し平均以上のセンスを持っているという意見には、誰も与しないに違いない。

 ファッションセンスによって直接の損害を被っている政治家の代表は、ヒラリー・クリントンである。クリントンは、ファッションセンスに乏しいことで以前から有名であり、そのちぐはぐな感じの衣装は、これまでマスメディアで繰り返し面白おかしくからかわれてきた。(下のリンク先でも、「何をどう着ても似合わない」というような書き方をされている。たしかに、リンク先には、クリントンのファッションセンスのなさを証明するような写真がたくさん載っていて、ことによると、本当にセンスがないのかも知れないと思えてくる。)

 写真で見るかぎり、大統領選挙に立候補してからは、スタイリストが決めたセンスのよいものを無難に身につけ、何とかサマになっているようであるが、それは、おそらく、着るものを自分で選ぶと、目も当てられない状態になることがわかっているからであろう。そして、このような事情は、アメリカ国内で、クリントンに対する好感度が低いことの原因の少なくとも1つではあるように思われるのである。
Hillary Clinton's 20 WORST fashion faux pas from the past 50 years


(翻訳:「68歳の彼女は、日曜日にニューヨークで注目を集めたが、そのとき家族と一緒に外出中の彼女が着ていたのは、刺しゅうされた花柄のジャケットである。ただ、彼女には、ファッションにまつわる不幸がたくさんあって、このド派手なコートはそうした不幸の1つにすぎない。」)

 上の写真のコートは、2003年にアフガニスタンのカブールで購入したとされるもので、クリントンは、この12年間、これを着用して人前にたびたび姿を現している。もちろん、これは、大変に評判が悪く、マスメディアでは、ファッションセンスの欠如の証拠として繰り返し酷評されている。