TrustMe - Responsive WordPress Magazine / Blog - Tablet 03

電子書籍は蔵書と見なさない

 本についても雑誌についても、私は、電子版というものを好まない。だから、本についても雑誌についても、電子版を購入することは滅多にない。仕事の必要上、

Google ブックス

Internet Archive: Digital Library of Free Books, Movies, Music & Wayback Machine

Welcome to Open Library | Open Library

Online Book Catalog - Overview - Project Gutenberg

国立国会図書館デジタルコレクション

青空文庫 Aozora Bunko

などを利用し、著作権の保護期間が終わった作品を読むことがないわけではないけれども、これはあくまでも、紙の本が手に入らない場合の緊急避難的な措置である。

 そもそも、

    • 何度も読み返す可能性の低い本は、読んだあとに手もとに置く必要がない場合が多く、この意味で、古本屋に売ることができない電子書籍は割高であるし、
    • 仕事に必要な本は、紙で手もとに長期間保管できないと、書き込んだり複数の本を机の上に広げて同時に参照したりするのに不便であるから、

 いずれにしても、私の蔵書に電子書籍の入り込む余地はほとんどない。この問題については、以前、次のような記事を投稿したことがある。


蔵書整理のヒント#3 電子書籍か紙の本か : アド・ホックな倫理学

電子書籍は「蔵書」ではない 電子書籍の登場以前、蔵書を管理するときに考慮しなければならないのは、紙の本だけであった。また、現在でも、電子書籍とは無縁の生活を送っているなら、電子書籍の扱い方に頭を悩ませることはないであろう。 しかし、自分が所蔵している本を



 また、紙の本を手に入れれば、その所有者は私であるが、電子書籍の場合、私には閲覧する権利が与えられているにすぎず、データの所有権は私にはない。だから、電子書籍のデータがクラウド上にある場合、売り手の都合で突然削除されてしまうおそれがある。私は、これを「電子書籍のリスク」だと考えている。

電子版の雑誌は読むのを忘れる&読みにくい

 もっとも、雑誌の場合、不要になっても古本屋に売ることは難しく、手もとから消すには、廃棄するしかない。だから、雑誌については、電子版だからと言って割高であるわけではないと言うことができる。

 ただ、雑誌の電子版には、固有の問題が少なくとも2つある。1つは、読むのを忘れること、もう1つは、読みにくいことである。

 以前、一度だけ、電子版の月刊誌を定期購読したことがある。非常にかさばる雑誌だったため、電子版なら場所をとらず、ゴミにする手間もかからないと期待したのである。また、価格も、紙媒体と比較してやや低く設定されてはいた。

 しかし、結果として、この電子版は高くついた。電子版の雑誌の新しい号が発行されると、通知のメールが来る。しかし、電子版には形がなく、目の前にブツが転がっているわけではないから、ウッカリすると忘れてしまい、次の号の発行の通知が来るまで放置してしまうことがある。だから、発行の通知が来たら、忘れないうちにすぐに読むようにしていたのだが、この「読まねば」という圧力は、私にとっては大きなストレスであり、結局、半年で購読をやめてしまった。

 電子版の雑誌のもう1つの問題は、その読みにくさである。

 もとの雑誌の判型によって事情は異なるけれども、「かさばる」という理由で電子版を求める雑誌というのは、B5以上であるのが普通であるように思う。(判型がA5以下であれば、それほど多くの空間を占領しないからである。)

 しかし、紙媒体でB5版の雑誌は、開くとB4版の大きさになる。そして、もともとの誌面のレイアウトは、B4版の面積を一度に視野に収めることを前提としている。ところが、電子版の雑誌を読むのに端末が携帯電話やタブレットが使われるときには、誌面全体が画面に収まらない。あるいは、全体が収まるとしても、縮小された状態でしか見ることができないのである。

 紙媒体でB4版の雑誌をもともとの大きさで読むためには、少なくとも20インチ程度のモニターが必要になるが、これは、テレビかデスクトップのPCのサイズである。当然、携帯電話やタブレットで電子版では、ページの細部を虫眼鏡で拡大しながら順次点検するような読み方になることが避けられない。雑誌というのは、見開きの全体を視野に収めてざっと眺めることができる点に特徴があるはずであるにもかかわらず、電子版では、これが活かされていないことが多いのである。少なくとも私にとっては、この点が苦痛であった。