Bakery

独り暮らしの場合、保存の工夫は必須

 スーパーマーケットやパン屋で袋に入って売られている食パンやコッペパンには賞味期限が記されている。パン屋の場合、精算のときに賞味期限を確認し注意喚起してくれるところもある。また、あらかじめ袋に入っていない商品をパン屋で買う場合、賞味期限は記されていない。このような種類のパンは、できるかぎり早く消費しなければならないからである。

 パンが作られるときにどのような添加物が使用されているかにより若干異なるけれども、賞味期限は、製造日から長くて常温で4日、短い場合には2日というのが普通である。しかし、たとえば6枚切りの食パン1斤を2日で消費することは、独り暮らしでは不可能であろう。したがって、賞味期限を超えても食べることができるよう、パンを保存することが必要となる。

パンは冷凍して保存し、トーストの場合は冷凍のまま、それ以外の場合は1時間以内の自然解凍

 とはいえ、パンを保存する方法は1つしかない。それは、冷凍することである。

 ビニールの袋にあらかじめ入っているスライス済みの食パンは、買ってきたらすぐにそのまま冷凍庫に放り込んでかまわない。もう少し手間をかけるつもりがあるのなら、食パンを1枚ずつラップに包み、これらをまとめてビニール袋に入れて冷凍庫に保存するとなおよい。冷凍庫内は乾燥しており、わずかずつではあるが、パンの水分が奪われて行くからであり、パンを二重に包む方が、乾燥を防ぐには効果的だからである。

 食パン以外のパンは、買ってきたらすぐに、1回で食べきることができる分量に切り分け、まとめてビニール袋に入れて冷凍庫で保存する。あるいは、切り分けたものを1つずつラップに包み、これをまとめてビニール袋に入れて冷蔵庫に保存する。理由は上と同じである。

 食パンをトーストする場合には、冷凍のままトースターまたはオーブントースターに放り込んで焼けばよい。(私自身は、魚焼き用のグリルでトーストを作っている。)トーストしない場合には、食べる分だけ冷凍庫から出し、室温で放置すると1時間以内に解凍される。だから、朝食用のパンは、前日の就寝前に冷凍庫から出しておけばよいことになる。

 冷凍した場合、半永久的とまでは言わないが、少なくとも1ヶ月はおいしく食べることができる。ただ、スーパーマーケットで売られている一部の丸型パンについては、冷凍の期間が長くなると、うまく解凍されず、何となくパサパサしていたり、あるいは、反対に、表面がベタベタしていたりすることがあり、注意が必要である。(食べられないわけではないが、何となく食感がよくない。)これは、パンの表面積と関係があるのかも知れない。

パンは買ったらすぐに帰宅する

 なお、パンというのは、決して保存食ではない。むしろ、本質的には生鮮食品の一種と考えるべきものである。実際、添加物が使われていない食パンをビニール袋に入れて室温で放置すると、1週間以内にカビが生えてくる。いくら待ってもカビが生えてこない食パンには、保存料が添加されているはずである。フランスパンの場合、室温で3日くらい放置すると、周囲の湿気を吸ってフニャフニャになることもあれば、水分を奪われてカチカチになることもある。もちろん、さらに放置するとカビが生えてくるのは、食パンの場合と同じである。

 カビが生えたパンは、決して食べてはならない。というのも、青や黒のカビが目につくようなったときにはもう、目に見えない白いカビがパン全体に広がっているはずだからであり、カビというのは、基本的には毒を持っており、口にすると危険だからである。(発酵食品の製造に利用されるカビは、品種改良され無害化されたものであり、特殊なカビであると考えるべきである。)

 だから、出先でパンを購入したら、できるかぎり早く帰宅し、小分けにして冷凍庫に放り込まなければならない。パンは鮮魚と同じようなものであるから、パンを買ってから、その足でさらにどこかに出かける、パンを買った帰りにカフェに立ち寄っておしゃべりするなど、「パン」を「鮮魚」に置き換えてみれば、問題外の行動であることは明らかであろう。

 同じような理由で、自宅からあまりにも遠い場所でパンを購入するのも、避けた方がよい。たとえば、千葉県松戸市には、次のような有名なパン屋がある。

zopf|パン焼き小屋 ツオップ

 また、神奈川県湯河原町にある次のパン屋も、よく知られている店である。

BREAD & CIRCUS

 しかし、これら名店であることは知っていても、また、どれほど時間に余裕があっても、私は、これらの店でパンを購入し、自宅に持ち帰るつもりはない。いずれの店に行くのにも、私の自宅から片道2時間以上かかるからである。私は、帰宅に1時間以上かかる場所にある店ではパンを購入しないことにしている。また、パン屋を含む複数の店で買いものするときには、パン屋を最後にすることにしている。これは、パンの鮮度を保持するための小さな工夫、しかし、とても効果的な工夫である。