大学を中退する人は年間8万人余り。5人に1人が「お金がない」ことが原因だと回答。中退後、安定した職に就けず、奨学金の返済ができなくなる「中退難民」が相次ぐ。背景のひとつが「晩婚化」だ。高齢の親が年金だけで学費を支払えず、子どもが自力で学費を捻出しなければならないケースが続出。さらに熟年離婚やリストラなどのリスクも重なり、「お金がなくて学べない」学生が増えている。中退難民を防ぐには何が必要か考える。

情報源: NHKオンデマンド | クローズアップ現代+ 「奨学金破産の衝撃(2)~“中退続出”の危機~」  




 上の番組を見て考えた。たしかに、奨学金破産は、これだけ切り出して見れば、明らかに深刻な問題である。実際、出演者たちも、深刻そうな顔をしていた。しかし、借金までして大学に行こうと思うなら、当然、「大学で従事する学術研究」について、それなりの覚悟や自覚が先立っていたはずである。


 反対に、自分の経済状況を冷静に考えることもなく、また、勉強への覚悟も自覚もなしに大学に進学したのなら、それは、リテラシーが低すぎるとしか言いようがないし、同情のしようもない。
 そもそも、大学で勉強というのは、(「卒業できさえすれば何でもかまわない」というのならともかく、)本格的にものにしようと思うのなら、アルバイトと簡単に両立させられるほど甘いものではない。実際、匿名でインタビューに応じていた大学生や元大学生からは、「どうしても大学でこれを勉強しなければならない」「どれほど貧乏しようとも勉強に青春をかける」などの覚悟のにじむ発言は一つもなく、「○○を学びたかったのに・・・・・・」的な甘ったれた言葉が私の耳に断片的に残るばかりであった。

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 「何も大学に進学しなくたっていいじゃないか」「大変だってわかってて進学したんなら自己責任でしょ」などの反応は、(当然のことながら、番組では紹介されていなかったが、)社会の中には一定数あるはずである。実際、大学入学後に奨学金破産した場合、生涯賃金は、高卒で就職した方がよほど多くなるに違いない。もちろん、何時間もカメラの前でインタビューに答えても、実際に放送されるのはほんの数秒なのが普通だから、肝心の発言がカットされている可能性はある。


 「奨学金破産」の本質が、覚悟も自覚もない者のリテラシーの低さが原因の貧困であるなら、「給付型奨学金」のようなシステムにより、政府が税金を投入してその後始末や救済をすることには、社会的な同意が得られないであろう。

少なくとも私は、納税者として賛成することができない。
 まず、そこまでして大学に行く意味はどこにあるのか、当事者はまずよく考えるべきであろう。

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