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生活の質を維持するには、蔵書のダウンサイジングは必須である

 どのくらいの量の蔵書があるのか、正確に数えたことはないが、本棚の大きさを手がかりに計算すると、家にある「私専用の本」だけで、5000冊くらいにはなると思う。以前、岡崎武志氏の『蔵書の苦しみ』を読んで、本をたくさん持つ者のつらさに共感を覚えた。

蔵書の苦しみ (光文社新書) | 岡崎 武志 | 本 | Amazon.co.jp

 本は、場所を占領するばかりではない。本の重量もまた、私たちの生活を苦しめる。今は鉄筋コンクリート造の建物に住んでいるから大丈夫であるけれども、木造の一戸建てで暮らしていたときには、本の重みで床が抜けたことがある。

 蔵書が原因の生活の質の低下を避けるためには、何らかの意味における「整理」を避けることができない。しかし、蔵書は、放っておけば際限なく増える。そして、アマゾン、大型書店、古書店、さらに、美術館や博物館の売店……、本を買うことへの誘惑に抵抗することが不可能であるなら、購入する以上のスピードで本を減らす以外に道はない。単なる書類とは異なり、本の場合、「必要/不要」の境界を明確にすることは容易ではなく、したがって、「不要な本を処分する」を作業の原則とするとしても、何が「不要な本」であるのか、決められないことが少なくない。さしあたり読む予定がなくても、「いつか必要になるかも」「一度手放したらもう2度と買えないかも」などと考え始めると、すべてが「必要な本」に見えてくる。実際、本を手放し、その直後に後悔したことは、これまで何度もある。

本を減らす場合の大原則:新しくて安い本から処分する

 私自身、蔵書整理の達人というわけではなく、長期的には、蔵書は増える傾向にある。それでも、この何年かは、増加のスピードがかなり緩やかになってきたことは事実である。本をこまめに処分するようになったからである。これまで本を1冊も手放さなかったら、蔵書は1万冊を超えていたと思う。

 蔵書を減らす方法は、きわめて単純である。すなわち、ブックオフに持参するのである。毎週1回、15冊ずつ本を選び、これをブックオフに持って行く。この作業を1年間繰り返し、蔵書を約750冊分小さくした。その際に原則としたのが、発行年月日が新しく、しかも、価格の安いものを優先的に処分することである。なぜなら、刊行されたばかりであり、価格が安いなら、万が一ふたたび必要になっても、同じものを入手することが容易だからであり、処分することへの抵抗感が小さいからである。また、蔵書整理に勢いが生まれると、抵抗感はさらに小さくなる。これに対し、刊行されてからある程度以上の年月が経過している場合、あるいは、何千円もする場合、処分は先送りするのが賢明である。

 もちろん、新しくて安い本でも、発行部数が少なく、ふたたび出会う可能性が低いものがないわけではないから、書名を確認せず機械的に処分するわけには行かない。私の場合、所蔵する沖縄関連本は、新しくて安いものであっても、さしあたり手もとに残すことにしている。特に、沖縄の書肆で刊行されたものは、今まで手放したことがない。「ひるぎ社」の「おきなわ文庫」を始め、沖縄まで行かないと入手できないものが少なくないからである。

 なお、私は、蔵書の整理にブクログを使っている。ブクログに本を登録し、発行年月日の新しい順にアイテムをソートし、上から順に処分を検討するのである。今のところ使う予定がなく、また、「必要になったら、そのときに手に入れればいいや」と思えるものなら、大抵の場合、処分しても大丈夫である。