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 しばらく前、iPad miniを廃棄した。私が廃棄したのは、2013年に購入した第1世代のiPad miniである。故障したわけではないし、決定的に不要になったわけでもなかったけれども――主に出先で移動中に電子書籍を読むためにPad miniを使っていた――それにもかかわらず廃棄したのには、ある単純な理由がある。すなわち、第1世代のiPad miniのiOSのアップデートが9.35までで止まっており、iOS10以降にはアップデートされないことがわかったからである。

 OSがアップデートされなくなるからと言って、すぐに動かなくなるわけではないが、少なくともアップルの製品の場合――特にiPadやiPhoneでは――OSがアップデートされていないと、アプリのアップデートから次第に取り残されて行くことを避けられない。ネットに接続して使うことが前提となっている以上、アップルの製品であり安全であるとは言っても、やはり、これはどうでもよい問題ではないに違いない。

 マイクロソフトの場合、Windows XP以降のOSが出荷時にインストールされていたPCなら、理論上は、CPU、メモリ、HDなどの環境が許容するかぎり、OSのアップデートが無際限に可能である。Windowsでは、PCが動かなくなったときがアップデートできなくなったときとなる。

 これに対し、アップルの製品は、今回のiPad miniのように、機器の寿命が来る前に使えなくなる可能性がある。アップルは、同一の機器やソフトウェアを長く使い続けるユーザーを大切にするよりも、最新の技術を取り入れた最新の製品を開発することをつねに優先させるからである。

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 だから、20年前にWindows95用に開発されたソフトウェアが最新のWindows10でも動くのに反し、同じ時期にMacのOSであった漢字Talk7.5(懐かしい……)で動いていたソフトウェアは、現在のMacにはそのままではインストールすることすらできず、どうしても動かそうと思うなら、(漢字Talkについて開発されているのかどうか知らないが、)エミュレータが必要になるはずである。このような観点から眺めるなら、アップルの製品、特にiOSやMacOSで動く製品については、5年も10年も使い続けられる見込みはなく、最短で約3年で「賞味期限」が来ると考えた方が無難であり、この意味では、アップルの製品は割高であると言うことができる。(もっとも、アップルが好きな人々は、価格など一切考慮しないのかも知れないが。)

 WindowsとMacのあいだの選択は、もちろん、各人の好みによるであろうが、少なくともMacには、周辺機器が急に使えなくなったり、データをそのままでは読み込めなくなったりする懸念がつねにつきまとうことは確かである。私は、12インチのMacBookを所有しているけれども、ネット上で完結する作業以外、Macを仕事で使うことはない。やはり、WindowsではなくMacを仕事用の主なマシンとして支障なく使うことができる職業は、今のところかなり限られているように思われる。