Women@Work - KVLV

専業主婦には2種類がある

 私は、現在の日本の社会が抱える問題のかなりの部分が専業主婦の存在を解消することによって取り除かれると考えている。

 生産年齢人口に当たる15歳から64歳に属しているのに、学校に通っているわけでもなく健康上の問題を抱えているわけでもなく、それにもかかわらず正業に就いていない男性は、「ニート」や「ひきこもり」と呼ばれる。ところが、女性は、これと同じ立場に身を置いていても、なぜか「ニート」とも「ひきこもり」とも呼ばれず、未婚なら「家事手伝い」、既婚なら「専業主婦」と呼ばれている。私が家庭から追い出すべきであると考えているのは、「専業主婦」の仮面をかぶった「ニート」ないし「ひきこもり」である。

 とはいえ、専業主婦には大きく2種類を区分することができる。すなわち、自発的な専業主婦と不本意な専業主婦である。社会政策ないし労働政策として望ましいのは、後者、つまり、不本意ながら専業主婦の地位にとどまっている女性たちが社会に出て行くことができるよう最大限支援することであり、同時に、前者、つまり、「家庭に入る」「永久就職」などと称し――自覚しているかどうかわからないが――事実上の「ニート」「ひきこもり」として社会のパラサイトになっている女性たちにペナルティを与え、家庭から追い出すことである。

 既婚の女性が不本意ながら専業主婦にならざるをえないとするなら、その原因は、(失業を除けば、)家庭内で発生し、家庭内で賄われざるをえない労働力に対する需要を満たすためであり、少なくとも現在の日本では、この種の労働力への需要のうち主なものは、介護と育児から生れる。つまり、介護と育児に従事せざるをえないという理由により、フルタイムの仕事を諦め、不本意ながら専業主婦の地位にとどまらざるをえない女性が相当数いると考えるのが自然である。したがって、介護と育児に対し最大限の社会が最大限の支援を差し出すことは、不本意による専業主婦を社会に送り出すために必要不可欠であるように思われる。

問題は、「永久就職」を決め込んだ「意識低い系」の専業主婦

 しかし、自発的な専業主婦には、このような支援は何の意味もない。なぜなら、彼女たちには、外に出て働くつもりが最初からなく、労働しないことを権利として受け止めているからである。しかし、この「権利」を実際に享受しているかどうかはともかく、このような専業主婦願望を持つ「意識低い系」の女性――下の記事によれば、女性全体の約半分を占める――を放置することは、不本意ながら専業主婦にとどまっている女性に対する侮辱に当たるばかりではない。これは、女性の権利や社会的な地位を確立するために闘ってきた先人への侮辱にも当たる。

女性の半数が「夫は外、妻は家庭」と思っているのに、一億総活躍をどう実現するのか

 「意識低い系」の専業主婦願望がこれほど広がっているようでは、わが国の未来は暗いと言わざるをえない。

 少なくとも形式的に考えるなら、国民のポテンシャルを最大限に引き出すことにわが国の将来がかかっていることは事実であり、このかぎりにおいて、「一億総活躍」は、必ず実現されねばならない課題であることもまた確かである。社会保障費は老人のためのものではない。少なくとも今は、育児と介護による人的資源のロスを回避するために使われなければならないのであり、この名目のために社会保険料が増えるとしても、多くの国民は、これを受け容れるのではないかと私は想像している。