Girls with shopping bags

セール品を買うときには、なぜ値引きされているのかを理解することが必要

 街を歩いているとき、店頭でさまざまな商品のセールに出会うことがある。まさか「セールなら何でも買う」「ものを買うのはセールのときだけ」などという人はいないであろうが、それでも、衣料品を中心にして、セールになるのを待って買う人は少なくないに違いない。

 しかし、私自身は、スーパーマーケットでの食品の値引きを別にすると、セールになっているものを買うことはあまりない。というのも、セールになっているものは、家電でも、食品でも、衣料品でも、雑貨でも、値引きをせざるをえない何らかの理由があるのが普通だからである。

 したがって、セールで売られているものが安いからと言って、闇雲にこれに飛びつくと、かえって損をする可能性がある。

セール品は返品、交換ができないのが原則

 まず、セールになっているものは、アウトレットで販売されているものや「福袋」を含め、原則として返品、交換ができない。返品、交換されては困る何らかの事情があるから、その分、もとの価格から値引きされていると考えた方がよい。

 これは、ほぼすべてのセール品に当てはまる普遍的な原則であるけれども、この点に無頓着な人は少なくないように思われる。

 だから、ある程度以上高額なもので、かつ、返品、交換する可能性が少しでもあるなら、セール品は購入しない方が無難であることになる。すなわち、よほどの安物でないかぎり、あるいは、以前に購入したのとまったく同じものでないかぎり、ブランドものの靴、コート、アクセサリーなどについては、セール品は避けるべきであることになる。

 一般に、高級なブランドの製品は、もともと高額であるから、よほど特殊なもの――たとえば口紅のような――でないかぎり、基本的に何についても返品、交換を受け付けている。

 したがって、たとえば「それなりに高級なお洒落なハンドバッグがほしい」と思うのなら、セールで買うことはすすめない。セールではなく正価で購入した商品なら、返品や交換が可能であり、時間と手間さえかければ、値段に見合う気に入ったものに必ず出会うことができるからである。

化粧品は、正価で購入しても返品、交換ができないから、購入前にサンプルを使うことができる

 なお、化粧品は、値段に関係なく、また、セールであるかどうかにも関係なく、返品、交換は原則として不可能である。これは、スーパーマーケットで売られている野菜について返品、交換ができないのと同じである。

 とはいえ、化粧品の価格は、野菜とは比較にならないほど高いのが普通である。だから、メーカーは、客のリスクを抑えるため、美容部員を売り場に配置して対面で商品を販売したり、大量のサンプルを客に配布したりしているわけである。(DHCを始めとするいくつかのブランドの商品が安いのは、客のリスクを抑えるためのコストがかかっていないからである。)

必ず消費するものなら、安売りされているものを優先的に選んでさしつかえない

 もちろん、値引きされているときに、これを優先的に購入して何の問題もない商品はたくさんある。たとえば、普段の生活においてすでに実際に使用されている消耗品や、いつも食べている加工食品のようなものなら、値引きされているものを購入しても、損する危険はない。もちろん、消費期限が近づいているとか、廃番の商品であるとか、値引きされているのにはそれなりの事情があるには違いないけれども、これを許容することができるのなら、むしろ、値引きされているものを優先的に選んでもかまわないはずである。

 なお、スーパーマーケットで食品が値引きされているとき、値引きの理由が「賞味期限/消費期限が近い」ことであるなら、むしろ、このような商品を積極的に購入することは、道徳的に考えて好ましいことですらある。というのも、このような商品は、売れ残れば廃棄されることを免れないけれども、これは、いわゆる「食品ロス」を増やすことになるからである。値引きされている食品を購入するなら、若干の金銭を節約することが可能となるばかりではなく、これは、食品ロスを削減し、地球環境への負荷を減らすことにもなる。

「わけあり」という理由で値引きされているものを購入するときには、「わけ」を確認することが絶対に必要

 とはいえ、「わけあり」という表示とともに値引きされている場合、その「わけ」を確認することは絶対に必要である。賞味期限が近い、形が悪いなどの理由で値引きされているのならかまわないけれども、中には、さらに深刻な何らかの事情によって値引きされていることがないとは言えない。特に通信販売の商品で「わけ」が明記されていないときには、購入には慎重になる方が安全であるに違いない。