Master Control 02

 昨日、NHKで次のような番組を観た。

続ける?やめる? "24時間型社会"ニッポン - 放送内容まるわかり! - NHK 週刊 ニュース深読み

 最近、24時間営業をやめるコンビニエンス・ストア、ファストフード店、ファミリーレストランなどが増えてきたというニュースが取り上げられ、「24時間型社会」の功罪が論じられていた。私自身は――自宅のすぐ裏に24時間営業のコンビニがあるのだが――24時間営業の店を深夜に訪れたことがなく、そのありがたみが実感としてはわからないのだが、それなりの需要があるということなのであろう。

 しかし、夜というのは、常識的には、人間が活動せず、休息や睡眠をとるべき時間帯であるから、この時間帯には、休むわけには行かない特別な施設(警察署、消防署、発電所、気象台など)を除けば、さしあたり業務を中断するというのが自然である。小売店、民間企業、官公庁、公共の交通機関など、日の出とともに順次業務を始め、日没とともに順次業務を終えることにすれば、健康的な社会が出来上がるように思われるのである。

 しかし、これら以上に無駄であるのは、テレビの24時間放送である。21世紀になるまで、テレビ局は、必ずしも番組を24時間放送してはいなかった。だから、昔は、深夜から早朝にかけての何時間かは、テレビのスイッチを入れると「サンドストーム」(砂嵐)――正確には「スノーノイズ」と言うらしい――が画面に現れた。(デジタル放送ではこのノイズは生まれないようである。)


 午前0時から午前5時までは、すべての局が一斉に放送をやめればよい。深夜にどうしても必要なのはニュースだけであり、大きな事件や事故があったときに臨時で放送されれば十分であると私は考えている。テレビが24時間放送をやめれば、製作しなければならない番組の数が減り、その分、番組の質が向上するに違いない。番組を放映する時間を確保するためにチャンネルを増やしたり放送時間を延長したりするのならばともかく、現状では、チャンネルと放送時間を埋めるために、番組を作らざるをえないようになっているはずだからである。

 いや、これだけたくさんのチャンネルがあるのだから、テレビの放送は、どの局も1日8時間程度に制限すればよい。すべての番組の視聴率は上がるであろうし、番組の質もまた向上するであろう。当然、広告料も上がるに違いない。

 テレビの放送時間が減少しても、ネットに視聴者を奪われるのではないかという懸念は杞憂である。不思議なことに、ネット上のコミュニケーションの話題は、今の私がそうしているように、その多くを――ネット上に直に流された情報ではなく――テレビ番組、特に地上波のテレビ番組に仰いでいるからである。テレビ番組の質は、ネット上のコミュニケーション、特にSNSのトラフィックに大きな影響を与える。だから、それぞれの放送局が放送時間を短縮し、番組の質を向上させるなら、それは、社会全体に好ましい影響を与えることになるはずである。